みなさんこんにちは。
 今年も残すところ、あと一週間となりました。
 つい先日冬休みが始まったので、
 堂々と二度寝ができるようになりました。
 ……すみません。本当は学校がある日も、
 時々やってしまっていました。
 温かい布団の中でぬくぬくとしながら
 うとうとするのは、とても幸せな時間なので……。
 寝るより楽なことはなし、という、
 おばあちゃんの言葉を思い出します。
「ようこそ、私の豪邸へ。
 今日は楽しんでいってちょうだいね」
「うん、おじゃましまーす!」
 浜愛先輩、虎々奈先輩、つばめ先輩と一緒に
 美羽璃先輩のお家にやってきました。
 相変わらず、庭でキリンやゾウが
 飼えそうなくらい大きい家です。
「なーんで明日のクリスマスやのうて
 イブの今日やねん。ウチにカレシでもおったら
 どーしてくれるつもりや」
「そんなのいるわけないんだから
 何の心配も必要ないじゃない」
「も、もしもの話をしとるんや!
 こないだの終業式で、実はクラスの男子に
 告られてたっちゅー可能性が……」
「それ……来年、ヤクルトが優勝する可能性と……
 どっちが高い……? あはははは……」
「ウチが悪かったつばめ! せやからその
 遠くを見るような目ぇすんのやめえ!」
「虎の恋人っていうと、やっぱりFAの糸井とか
 メジャー帰りの福留とか……あ、最近だとロサリオ?」
「浜愛、そっちやない。
 ある意味間違うてへんけど盛大に間違うとる」
「あ、やっぱりロザリオなの?
 なんか、ロサリオだったりロザリオだったりして、
 どっちが正解なのかなーって」
「間違えとるのはそこやない!!」
「話を戻すけど、明日のクリスマスは
 家族で食事に行くのよ。だから、
 今日招待してあげただけでも感謝して欲しいくらいだわ」
「私の家も、明日は家族でケーキを食べたりします」
「あ、遥ちゃんもなんだね。
 私も子供の頃から、クリスマスは家族で祝うもの、
 っていうイメージがあるなー」
「わたしも……明日は、お父さんとお母さんと
 3人で……ケーキ食べたり、ウインナー食べたり、
 あとヤクルト飲んだりするよ……ふへへ……」
「な、なんでウインナーなの……?
 チキンではなくて……?」
 口には出しませんでしたが、私も
 美羽璃先輩と同じことを思ってしまいました。
 ヤクルトを飲む、という点についてはもう触れません。
「それは……神宮名物……だから?」
「なんで疑問系やねん」
「クリスマスに食べる理由にもなってないわね……」
「世間がクリスマス一色に染まっても、
 つばめの心は神宮にあるってことだよね……!
 ヤクルトファンの鑑だよ!」
「ふへへへ……ありがとう、浜愛ちゃん……」
「そうなると、私もみかん氷とか青星寮カレーとか
 食べないと……今からお母さんに頼めばいけるかな?」
「そこは別に感化されんでええねん!」
「ほら、早く行くわよ。
 こっちの部屋に用意してあるから」
 美羽璃先輩に案内されて、
 広々とした家の中を右へ左へ歩きます。
「さ、ここよ」
 そして、前に招待してもらった時にも
 やってきた部屋にたどり着きました。
「うわ、なんやこれ……坂本の肖像画?
 前来たときこんなんあったか?」
「パパに頼んで作ってもらったのよ。
 前につばめの家にお見舞いに行ったとき、
 選手のポスターがいっぱい貼ってあったでしょう?
 それを見て、いいなって思ったから」
「そう、思ってもらえたなら、嬉しいけど……
 やっぱり、美羽璃ちゃんは……スケールが違うね」
 つばめ先輩の言うとおり、もの凄い大きさです。
 横幅は、両手を広げた私が3人分……くらいでしょうか。
 高さは、まるで3階建てのマンションを
 見上げているみたいです。
「なんかもうデカすぎやろ……
 この家の主が坂本みたいになっとるやん」
「まあ、それ素敵ね!
 本当にそうだったらいいのに……」
「作ってくれたお父さん……可哀想だよ……」
「これ見て唐突に思い出したんだけど……
 巨人のマギーって、サンタの格好すっごく
 似合いそうだよね……」
「ホンマ唐突やな……どうしたんや浜愛」
「そういえば、美羽璃ちゃん……もう一人の、
 勇人選手……いなくなっちゃったね……」
「もう一人の勇人……? 誰?」
「た、高木、勇人だよ……ほら、
 野上の、人的補償で……西武入りが決まった……」
「高木……ああ、あの人も勇人だったのね。
 え、西武に行ったの?」
「美羽璃、知らなかったの?」
「坂本様以外の勇人に興味なんてないもの。
 それに、高木って確かもう一人くらいいたでしょう?
 だから大丈夫よ」
「どういう理屈やねん!」
「そんなことより、早く始めましょう?
 せっかく作らせた料理が冷めてしまうわ」
「おっしゃ! クリパ開幕やな!
 高そうな肉だけ食いまくるでー!」
「スゴい! なんか見たことない食べ物が
 いっぱいあるね!」
「そうそう、オフシーズンでも寂しくないようにと
 この私がみずから編集を手掛けた、
 坂本様のスーパープレイ集を見ながら
 パーティーを楽しみましょう」
「やめろや! 美味そうなメシもマズうなるわ!」
 虎々奈先輩の反対意見はスルーされて、
 坂本選手のスーパープレイ総集編
(作:美羽璃先輩)が始まりました。
「ほら見て、この華麗なグラブさばき……!
 抜けていれば大変なことになっていたところを、
 坂本様がファインプレーで救ったのよ!」
「はぐ、んぐっ……もぐもぐ。
 まあ、出始めの頃に比べて守備が
 上手くなっとるのは認めたるけど……」
「あれ、これ……この試合、筒香のサヨナラ2ランで
 うちが勝った試合じゃない!?」
「え……?」
「そうだよ! ほら、7回まで4点差で勝ってたんだけど、
 8回にタイムリーとか亀井のスリーランで
 同点に追いつかれて……でも最後に、筒香がどかーんって!」
「そ、そうなの……まあ、坂本様が
 素晴らしい活躍をしたのであれば、勝ち負けは別に……
 あ、ほら! 坂本様のホームランよ!」
「あ……これ、後半にひっくり返して、
 星の負けを消した試合……じゃないかな……」
「な……」
「初回にいきなり、陽岱鋼が先頭打者ホームランで……
 マギーに四球からの、この坂本のホームランなんだけど……
 後半、追いついて……最後、バレンティンの
 ツーランで逆転……か、数少ない……
 巨人戦の勝ち試合……ふへへ」
「………………」
「なんや美羽璃、なんだかんだで
 ウチらも楽しめるように編集してくれたんやな……
 お前、実は結構友達想いやん?」
「そ、そうよっ……私は優しいんだから当然でしょう?
 だから、あえて、その……そんなつもりは……」
「美羽璃先輩、どうかしましたか?」
「な、なんでもないわ……
 遥さん、パーティーを楽しんでいってね」
「はい!」
 美羽璃先輩の笑顔がとても
 引きつっているように見えましたが……
 先輩の言葉通り、今日は楽しみたいと思います!