みなさんこんにちは。
 ここ数日、気温の変化が激しすぎて
 体調管理が大変な日々が続いています。
「さ、寒い……CS直前で風邪引きそう……」
「昨日はあんなに暑かったのに、キレッキレの
 フォークみたいな気温の落差なんやねんマジで」
「わかる、牛田のフォークくらい落ちてるよね……」
「また懐かしい名前出てきたなぁ……」
 虎々奈先輩の言うとおり、昨日やおとといは
 夏を思い出すような蒸し暑さだったのですが……
「どうしてこの部屋には暖房がないのよ。
 パパに言って取り付けてもらおうかしら」
「そういうこと……勝手にやっていいのかな……」
 外では冷たい雨がぱらぱらと降り始めました。
 今日は久しぶりに、全員が部室に集まっています。
「つばめはもう、体調の方は大丈夫なの?」
「うん、へーき……シーズンが終わっちゃえば、
 心労の種はなくなったも同然だから……」
「ええと……は、早く良くなるといいわね……
 チーム事情的な意味で……」
「そういえば浜愛先輩、クライマックスシリーズって……」
「明日から!」
「ああ、そういえばそんなものもあったわね」
「お、出られないのが悔しくって忘れたふりしとるんか?
 ん〜? 美羽璃もけっこう可愛いとこあるやん」
「うるさい。あなたに誉められても嬉しくない」
 ほっぺたをぷにぷにとつついてくる虎々奈先輩を、
 美羽璃先輩が軽くあしらっています。
「天気がちょっと心配だけど、明日からの3日間が
 ファーストステージだよ」
「それはちゃうで浜愛、3日間やのうて2日間や。
 なぜなら、阪神の2連勝で終いやからなー!
 なーっはっはっはっはっは!」
 仁王立ちのお手本のような体勢で、
 虎々奈先輩が自信満々に胸を張っています。
「でも……阪神って……甲子園では、
 横浜に負け越してるんだよね……?」
「ぐ……そ、それはそれ、これはこれやでつばめ」
「2連勝なんてさせないよ。ウチの先発予想は阪神と
 相性の良い今永ウィーランド濱口だからね」
「先発ならウチも負けてへんぞ! しかも初戦は
 こないだの復活登板で完璧なピッチングしとった
 ラーメン大好きメッセンジャー様や!」
「ラーメン大好きって、確かうちにもそんな
 ピッチャーがいた気がするわね……誰だったかしら」
「その人、多分今年あんまり投げてないから……
 忘れちゃうのも……無理ない、かも……」
 いよいよ明日に迫ったCSの話題で、
 部室が盛り上がってまいりました。
「ええと、クライマックスシリーズのファーストステージは、
 先に2勝した方が次に進めるんですよね?」
「そう、まさに短期決戦……
 だからこそ、選手の調子が特に重要になってくるんだよ」
「なるほど、調子ですか」
「高校野球でもあるんじゃないかな?
 練習試合とかで年間通してスゴい成績を残してるバッターが、
 夏の公式戦で不調に陥って悔しい思いをする……みたいな」
「確かに、めずらしいことではない気がします」
「そこが短期決戦の怖いところや……
 逆に言うと、ノりだしたら手がつけられなくなるっちゅーこともあるしな」
「子供の頃だったから……この目で見てはいないけど……
 日本シリーズの今江とか、スゴかったんだよね……」
「その話はアカンぞつばめ……
 それ、阪神相手の出来事やから……」
「それはつまり、阪神がコテンパンにされた話ということ?
 是非詳しく聞かせてもらえるかしら?」
「こういう時だけイキイキするなや!」
「確か2005年だよね? ロッテ対阪神の日本シリーズで、
 8打席連続安打の新記録作ったやつ」
「は、8打席連続ですか?」
 そこまで行くと、対戦するピッチャーも
 どこに投げればいいのか分からなくなりそうです。
「スゴいよねー、私も小っちゃい頃だったけど、
 なんとなく覚えてるもん」
「それで、結局勝敗のほうは……」
「ええと……4勝0敗で……
 千葉ロッテマリーンズの……ストレート勝ち、だったと思う」
「ぷっ、阪神は1勝もできなかったの?」
「なにを笑うてくれてんねん!
 その年に阪神が日本シリーズに出てるってことは、
 巨人を負かしとるっちゅーことやぞ!」
「でも2005年の話でしょう?
 坂本様の入団は2006年だから、勝ち負けなんてどうでもいいわ」
「坂本様を中心に世界が回っとるその感じ、
 1ミリもぶれへんのやな……ある意味清々しいわ」
「それで……あれ、なんの話だっけ?」
「短期決戦は……勢いが大事……って話」
「そうそう! だからこそ、私としては
 後半戦でちょっと調子を落としてた桑原が、
 どれだけ気迫あふれるプレーを見せてくれるかに
 期待してるんだ!」
「なるほど、浜愛先輩の思うキーマンは桑原選手なのですね」
「ならウチは……しいてあげるなら糸井やな。
 若手と中堅、ベテランが上手いこと噛み合って
 ここまで来たからこそ、一戦一戦の重みを知っとる
 糸井に福留、鳥谷あたりのベテランに、
 背中でチームを引っ張る活躍をしてもらわなアカン!」
「じゃあ……二人が名前をあげた選手に注目して……
 家で試合を観てるね……けほっ、こほっ」
「私も結果くらいは気にしてみようかしら……
 早ければ来週顔を合わせる時には、
 勝者が決まっているということよね」
「せやな。勝っても負けても恨みっこなしやぞ、浜愛!」
「もちろんだよ! 良い試合しようね、虎々奈」
 春先に始まったシーズンが決着し、
 いよいよ明日からクライマックスシリーズが始まります。
 ファーストステージを突破するのは、
 果たしてどちらのチームになるのでしょうか!