みなさん――
「いやったぁあああああああーーーーー!!!」
 ……こんにちは。今日の部室はとても賑やかです。
 その理由は、言うまでもありませんね。
「2年連続AクラスでCS進出だーっ!!
 しかも今年は勝ち越しでだよ! シーズン勝ち越しで
 3位だよ! もう横浜銀行なんて呼ばせないぞー!」
「最後までもたついたけど2位でフィニッシュやー!
 これが超変革の成果やでぇえええ!!」
「浜愛先輩、虎々奈先輩、おめでとうございます」
 9月から10月に移り変わったこの週末、
 昨日おとといの土日で上位争いに決着がつきました。
 土曜日に阪神タイガースの2位が決まり、
 日曜日には横浜ベイスターズが首位のカープを下し、
 3位の座を守りきりました。
 その結果、残念ながら読売ジャイアンツは……
「橋本も中井も立岡もみんなクビよクビ……
 あと長野のお給料を削るだけ削って、
 浮いたお金でもっと打てる選手を取るのよ……」
 どうやら、早くも来年の戦いを見据えているようです。
「昨日の今日でよう部室に来たなぁ。
 美羽璃、お前もなかなか根性あるやん」
「私だって来たくなかったわよ……!
 けど、ここで休んだらそれこそ負けたみたいで
 もっとイヤだったから、ちゃんと来てあげたの!
 そこのところを高く評価しなさい!」
「任しとき、しっかり査定に組み込んどくで。
 ま、Bクラスな時点で減俸は免れんけどなー!」
「ぐぬぬぬぬ……! よりにもよって、
 阪神に負けて4位が決まるとかもう最悪よ……!
 空気を読まずにLINE送ってくるのもやめてよね!」
「あれれー? ご自慢の坂本様さえ活躍すれば、
 順位なんかどうでもええんちゃうのー?」
「阪神ファンってバカなの!? 無神経なの!?
 坂本様が所属するチームが負けて
 気分が良いわけないでしょう!」
 虎々奈先輩と美羽璃先輩のじゃれ合いも、
 いつにもまして盛り上がっているようです。
「最後の最後で誤算だらけよ……
 まさか、畠があんなことになるなんて……」
「あの危険球は不運やったけど、畠もまだ1年目やからなあ」
「昨日の試合も連続ホームランで完全に動揺しちゃってたよね……
 アウトカウント間違えてベンチに帰ろうとしてたし」
「ま、しゃーないやろ。恨むんならこの大事な2試合で
 若手に頼らざるを得ない台所事情を恨むんやな」
「はっ……そうだわ、やけに先発がいないと思ってたけど、
 それもこれも、横浜の卑怯な作戦にハマったからじゃない……!」
「ハマだけにハマった? ってちょっと待ってよ!
 卑怯な作戦ってなにさー!?」
「忘れたとは言わせないわよ……
 長いイニングを投げられるエース級のピッチャー、
 という触れ込みがあったからお金を払って獲得したのに、
 活躍しないどころか球団に迷惑を掛けた選手がいたでしょう?」
「あー、あははは……あれは、私としても複雑なんだけどね……」
 これはひょっとして、シーズン中盤に世間を騒がせた
 あの人の話でしょうか……。
「あれのせいで先発ローテーションも計算できなくなって、
 ひいては私の坂本様も迷惑を被ることになったのよ。間違いない!」
「まあまあ、今日はめでたい日なんやから
 暗い話はやめとこーや。な?」
「私はちっともめでたくないの! やっぱり帰るわ!」
「あれ、もう行ってしまうん?」
「つばめにプリント届けに行くのよ、ごきげんよう!」
 美羽璃先輩、最後までぷりぷりしたまま
 出て行ってしまいました。プリントを届けに、
 ということは、つばめ先輩は今日休みだったんでしょうか。
「あぁー気持ちええなぁ……これで向こう半年は
 美羽璃のことイジり倒せると思うとたまらんわぁ……ぐふふふ」
「虎々奈先輩、よだれが垂れています……」
「さあ、次はいよいよクライマックスシリーズだよ!」
「それはいつから、どのような形で始まるのですか?」
「確か来週末……とかじゃなかったかな?
 ファーストステージだから、先に2勝した方の勝ちなんだ」
「でもって、ファーストステージの勝者が広島とやるんや。
 セカンドステージは先に4勝した方の勝ちで、
 広島は最初から1勝分のアドバンテージがついとるんよ」
「なるほど……シーズンのゲーム差は関係ないんですね」
 どんなに大差でシーズンを終えても、そこで負けたら
 おしまいというのは、なんともシビアなルールです。
「今は良い流れで来てるから、甲子園に乗り込んでも
 この勢いを維持したい! そして広島に行って勝って帰ってきてほしい!」
「すまんな浜愛、変な期待を抱かせる前に
 サクッと2勝して終わらせたるからな」
「お気遣いどーも、でもそう簡単にはいかないよ。
 甲子園ではうちが勝ち越してるわけだしね!」
「それはそれ、これはこれや!
 猛虎魂の底力、思い知らせたるからな!」
 上位争いには決着がつきましたが、
 早くもCSに向けてお互い燃え上がっているようです。
 夏が終わっても部室が暑い……いえ、
 熱いままなのはいいことですね!